この問診票は、あてはまるチェック項目の内容や個数から病気を特定するためのものではありません。
あくまで、大切な人の「変化」をチェックすることを目的としています。チェックした項目をもとに、「こころの病にかかっている、かかっていない」を判断するのは避けてください。
変化として気づいた事柄が頻繁に繰り返される、何週間も続いているというような場合は、「困ったとき、すぐに相談できるところ」に相談してみましょう。
ただし、「★」印つきの項目にひとつでもあてはまると「こころの病」である可能性が高いので、できるだけ早く精神科医の診察を受ける必要があります。
受診や相談の際に、「どのように状況を伝えたらよいかわからない」「状況を伝えるのに不安がある」という場合は、この問診票にチェックしたものをご持参いただくとちょっとした助けになるかもしれません。ぜひご活用ください。
責任やプレッシャー、複雑な人間関係など、職場にはストレスの要因があふれています。誰がこころの病になっても不思議ではない条件が、揃いすぎているとさえ言えるかもしれません。大切な同僚や部下がつらそうなときには、注意を払ってください。専門機関に相談するよう促すなど、場合によっては、次の行動を起こす必要があるでしょう。
不安定な経済情勢が続くなか、現役世代の「こころの不調」が深刻さを増しています。
ただでさえ、職場でプレッシャーを受ける機会や公私の両面で人間関係が広がることが多く、この年代はストレスのもとが絶えません。
それらのストレスを解消できているあいだは心配ないでしょうが、下記にあるような行為が気になったときには注意してください。
互いに、大切なパートナーの変化を見逃さないようにしたいものです。
子どもの心身の不調、環境や人間関係への不適応を、親は「成長過程ではよくあること」と片づけてしまいがちです。でも、もしかすると、こころの病が関係しているかもしれません。
子どもを取り巻く環境に不安材料が多い昨今、家庭の役割とご両親の目が今まで以上に大切になってきます。
うつ病や統合失調症など、この年代で発症する例が多い病気もありますので、気になることがあれば専門機関に相談してください。
20〜30代で精神疾患を発症するケースは、けっして珍しくありません。
高校生から大学生、大学生から社会人へと環境や人間関係が大きく変わる20代、職場での立場や責任が重くなる30代を中心に、非定型うつ病が増えているという現実もあります。
わが子の性格や生活習慣を知っている親だからこそ、気づく変化があるのではないでしょうか。
高齢者に多くみられるこころの病は、うつ病と認知症です。
この2つは症状が非常に似ているため、どちらの病気か見分けるのが難しいと言われています。
それでなくても、高齢になれば物忘れをするのもからだの痛みを訴えるのもあたりまえなので、「年のせい」と考えて病気のサインを見落としがちです。ご家族は「以前と比べてどうか」という視点をもち、行動や発言が気になったときは、なるべく早く病院に連れて行くようにしましょう。
大人だけでなく、子どもたちも世の中の変化を敏感に感じとり、こころのバランスを乱しつつあると言われます。
でも、子どもの場合はどうしても、周囲の目がからだの症状や行動に向きがちで、こころの不調に気づかない場合が少なくありません。
先生はまず、生徒の微妙なサイン、こころの叫びを見逃さないようにしてください。そして、行動や発言に変化を感じたら、親御さんとの面談が必要です。
誰にとっても、何でも話せる親しい友人は大切な存在です。
仕事のこと、学校のこと、家族のこと、恋愛のこと、いろいろな悩みを打ち明け合う間柄であれば、友達の変化を察知できることでしょう。
相手を思いやるあなたの一言が、受診のきっかけになる場合もあることを忘れないでほしいと思います。
※日本精神科看護協会の著書に、こころをめぐる病気や問診票、専門機関などについてまとめた『大切な人の「こころの病」に気づく』(朝日新書/2010年)がありますので、よろしければご参照ください(現在絶版でKindleでのみ販売中)。一部の図書館などでもご覧いただけます。