日本精神科看護協会

吉川隆博

一般社団法人
日本精神科看護協会

会長 吉川隆博

2022年新年のご挨拶

2022.1.1

より広く深く、仲間とつながり、地域共生社会の実現を

2022年度の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなかで、新しい年を迎えることになりました。昨年は、新型コロナウイルスの感染第3~5波の影響により、会員のみなさまのご所属施設では感染防止対策への取り組みに追われる1年になったことと思います。日本精神科看護協会の本部・支部の事業活動もオンラインが中心となった1年でしたが、会員のみなさまには、ご理解とご支援を賜り誠にありがとうございました。昨年のお正月は第3波の影響により、県外への帰省を自粛された方が全国的に多かったと思いますが、今年のお正月はいかがだったでしょうか。

さて、本年も引き続き新型コロナウイルス感染防止対策が優先される場面が多いと思いますが、コロナ禍3年目を迎えた2022年度は、「ウィズコロナ時代」に向けた取り組みを推進することが求められます。日本精神科看護協会主催の学術集会や研修会などに導入したオンライン配信は、今後も継続学習支援の効果的な手段として、併用できるように考えていきます。コロナ禍で加速した医療・看護現場でのICT化は、学習面に限らず「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」で求められている、病院と地域との連携場面においても期待されるところです。令和2(2020)年度診療報酬改定では、精神医療の分野においても情報通信機器を用いたカンファレンスが一定程度認められるようになりました。ICT活用による地域の事業所や関係機関とのカンファレンス、ケア会議の開催を進めることで、これまで地域で開催される会議に出向くことが難しかった病棟看護職も、地域支援者との顔の見える関係づくりを実現することが可能になります。日本精神科看護協会としては、厚生労働省などに働きかけて、現場でのICT活用をさらに推進していきたいと思います。

そして、2022年度も継続して、全国の精神科看護職の倫理的課題の解決に向けた取り組みを推進していきます。2021年度には「精神科看護職の倫理綱領」を改正し、会員の皆さまに「精神科看護職の倫理綱領とモヤモヤMEMO」をお届けいたしました。精神科看護職の倫理綱領は、私たちの指針であると同時に、精神科看護を正当に評価してもらうための社会への意思表明でもあります。そのことを全国の精神科看護職と共有し、だれから見ても安心・信頼できる日本の精神医療・看護を築いていきたいと思います。ただし、この思いを実現するためには、すべての精神科医療機関に仲間を増やすことが必要です。2022年度は、会員となる仲間を増やし、現場と日本精神科看護協会が一体となって取り組みを推進してまいりますので、みなさまの応援をよろしくお願いします。

日本精神科看護協会の本部・支部では、精神科看護職の教育事業をはじめ、こころの日の活動や、政策提言に向けた取り組みなどを行っています。2022年度には新たな取り組みとして、精神科看護職のクリニカルラダー、特定行為研修制度を導入していきます。こうした取り組みは、日本精神科看護協会の活動理念、「こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります。」を実現するための活動です。2022年度からは、これまで私たちが取り組んできた活動の成果を、国民に広く還元できるようにしていきたいと考えています。日本精神科看護協会と会員である精神科看護職が、日本国民の「こころの健康」を守る立場であること、「地域共生社会」の実現に貢献する存在であることを、具現化する1年にしていきたいと思います。そのために、本年もご支援のほどよろしくお願いいたします。

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会長就任のご挨拶2019.7.1

第44回日本精神科看護学術集会初日に開催された定時総会において、若輩者ながら会長職を拝命いたしました。今日までの職能団体の伝統と、末安前会長の後を引き継ぐという立場に、責任の重さを痛感しています。

これまで諸先輩方のご指導を賜りながら、理事として教育認定委員長、副会長などの役割を担ってまいりました。今後は、精神科看護に対する諸先輩方の熱意と探求心を継承し、これからの時代に求められる精神科看護のあり方を考え、ともに築いてきた協会事業・活動のさらなる発展に向けて職責を果たしてまいります。何卒一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

私は、岡山市内の精神科病院で働きながら准看護師、看護師の資格を取得しました。看護職の資格を取得し、日本精神科看護協会の会員となったことで、精神科医療・看護について勉強する機会を得るとともに、全国の精神科病院で活躍する仲間と知り合い、多くの刺激を受けることができました。そして、精神科看護師として、人生の中で目標となる先輩との出逢いに恵まれました。私と同じように、日本精神科看護協会とともに歩んできた会員も多いことと思います。

今後は、日本精神科看護協会の「こころの健康を通して、だれもが安心して暮らせる社会をつくります」の理念に基づき、精神科看護者の視野をさらに拡大して、さまざまな活動を創造していきたいと考えています。そして地域包括ケアシステム時代としては、精神科病院と地域との関係に目を向けて、精神科看護者が地域住民にとっても身近な存在となることができるように、全国の会員と一緒に新たな活動を考えチャレンジしていきたいと考えています。

そのために、新体制の代表理事、理事、監事、そして都道府県支部と力を合わせ、会員の皆様と社会の期待に応えていきたいと思いますので、今後ともご理解ご支援のほどを心からお願い申し上げます。

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