NISSEIKAN
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令和7年10月18日(土)14時00分~15時30分
金沢医科大学3号棟1階 第1講義室にて、令和7年度石川県支部看護学術集会を開催しました。3演題の発表があり、会員28名、非会員3名の計31名の参加がありました。
座長:金沢医療センター 前田 有貴子さん
1席:精神科外来における医療・福祉支援ニーズの調査
石川県立こころの病院 福井 可奈絵さん
2席:事故報告書の分析による車椅子乗車中の転落要因と安全ベルト使用状況
医療法人松原会 七尾松原病院 木下麻奈美さん
3席:単科精神科病棟でプリセプターシップを導入し定着率向上への取り組みを行なって〜プリセプター・プリセプティへの面接を通して〜
医療法人積仁会 岡部病院 生田 絵美さん
講評:石川県立看護大学 精神看護学講座 准教授大江 真吾 先生
始めに支部長より、研究発表の参加に感謝の言葉と、実践に根差した研究を発表し共有することで、有意義な学びの場にして欲しいとの挨拶がありました。
1席の発表では、精神科外来における支援ニーズを明らかにするための調査を行い、様々な項目より包括的支援マネジメントガイドラインに基づき6領域に分類し、支援ニーズを4段階に評価されました。支援ニーズなし群が大多数ではあるが生活、病状支援、全面的支援群が社会サービスを利用している外来通院の方の支援ニーズとして一定数あり、今後はそれぞれの現状と支援ニーズを鑑み外来機能強化が必要と述べられていました。
2席の発表では、安全ベルトの使用状況により車椅子乗車中の転落事故の予防に繋がるかの実態を明らかにするため、事故報告書での調査を行いました。認知や年齢などの患者要因の差はあるが、安全ベルトを使用していての転倒は17件中4件と安全ベルトを使用することで転倒事故を防ぐことは有効と述べられた。また倫理的な配慮から安全ベルト使用する時間を短時間に抑えるための関わりが課題とされ、突発的な対応を防ぐために患者1人1人にスタッフが対応はできないため転倒させないための観察と環境づくりが必要と述べられていた。
3席の発表は、精神科病棟での離職率減少のためプリセプターシップ導入に対するプリセプティ、プリセプターに面接を行い評価されました。プリセプターからは、精神科的な考え方について最初に教えたい、評価表があることで指導がしやすかった。プリセプティからは話しやすい相談相手、プリセプターに対する肯定的な感情があったとされ、双方より良い評価があったと述べられました。しかし、互いの勤務が合わなかったり、異動による途中終了などの勤務調整の課題もあると悩んでおられました。社会人として様々な経験や活動を通して相互に影響し合い高めていくものとして、新人からの刺激をバネに継続して学習したいと述べられていた。
会場からは、実際に精神科外来での取り組みはどう変わったのか、安全ベルトをせず転倒を防げた成功例はあるか、プリセプターの選定基準はどうか等、活発な質疑応答や意見交換が行われました。
最後に、お忙しい中で講評を頂きました大江先生に感謝申し上げます。演者の方々を初め共同研究者の方々におかれましては、限られた時間の中で研究に取り組まれ、精神看護の質向上に繋がる大変貴重な発表されたことに敬意を表したいと思います。得られた講評を通し、より良い研究として完成されることを願います。今後も石川県支部は研究のサポートを行い、県内の看護研究の発展に努力して参ります。